出っ歯とは、上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれ、上の前歯が下の前歯よりも前に突き出している状態です。
出っ歯は、以下の2種類に分かれます。
骨格性上顎前突:骨格に問題がある出っ歯
歯槽性上顎前突:歯並びに問題がある出っ歯
出っ歯のおもな原因は、以下のとおりです。
口呼吸する癖があると、舌が下がりやすくなり、唇の筋力が弱ります。その結果、舌の筋肉で歯が押し出され、出っ歯になりやすくなります。
乳幼児期に指しゃぶりが癖になると、口に対して前方方向に圧力がかかるようになり、出っ歯につながりやすくなるのが特徴です。
爪を噛む癖があると、口を前に出して前歯に力を入れる回数が多くなり、上下の顎のバランスが乱れ、出っ歯になりやすくなります。
虫歯で歯を失ったり、乳歯が早く抜けたりすると周りの歯が傾いて隙間を埋めようと動き、出っ歯になることがあります。
下顎の骨が小さかったり、上顎の骨が大きかったりすると、顎の前後の位置によって出っ歯になるでしょう。
骨格は親から遺伝する場合があり、生まれつき骨格に問題が出ることがあります。
出っ歯のおもな矯正治療法は、以下のとおりです。
マルチブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に装着し、歯を動かします。幅広い症例に対応できる矯正方法ですが、人によっては、見た目が気になる場合があります。
おもに抜歯をともなう治療で歯を大きく動かすケースに向いているのが特徴です。
マルチブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着することで歯を動かす治療法です。表側矯正に比べて目立ちません。
一方で、表側矯正より高額になるケースがあります。
薄い透明のマウスピースを装着することで歯を動かす治療法です。食事や歯磨きの際に取り外せるため、食べかすが残りづらくなります。
また、見た目にも影響が出にくく、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないのが特徴です。一方で、1日20時間以上の装着が必要であり、規定時間を守れないと期待した効果が得られにくくなります。
前歯のみを動かす際は、部分矯正で費用を抑えることも可能です。
出っ歯の原因が骨格にある場合は、外科矯正で顎の骨を切り、バランスを整える手術が必要になります。
口元の状態によっては、手術の前後に矯正治療をすることもあります。
出っ歯を放置すると起こるおもなリスクは、以下のとおりです。
出っ歯になると唇が閉じにくくなり、口内が乾燥して虫歯菌や歯周病菌が増殖し、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
出っ歯になると前歯が噛み合わなくなるため、空気が漏れやすくなり、サ行やタ行の発音がしにくくなります。
出っ歯になると前歯が噛み合わなくなり、食べ物が噛み切りにくくなるため、食事がしにくくなることがあるでしょう。
出っ歯になると口元の印象が変化し、笑顔に自信がなくなり、コンプレックスに感じるようになる人もいます。
Q
保険適用されますか?
A
一般的な出っ歯の矯正治療の場合は、保険適用外です。しかし、骨格的な問題によって出っ歯になっている場合、外科手術が必要になり、保険適用になる場合があります。
どれくらいの期間で治りますか?
一般的に2〜3年程度の治療期間が必要になる場合があります。軽度な出っ歯であれば、部分矯正で済む場合があり、5ヶ月〜1年程度で治療できることもあるでしょう。
いくらくらいかかりますか?
中程度から重度の出っ歯における全体矯正では、60〜170万円程度かかります。一方で、軽度な出っ歯における部分矯正は、10〜70万円程度です。